今回は、神戸大学の金井壽宏教授の『仕事で「一皮むける」』を読んだ感想と、特に中小企業における人材評価の視点から重要なポイントを共有したいと思います。
~管理職経験の見直し~
中小企業において、しばしば見落とされがちなのが、「管理職経験」という資産の価値です。
リストラや組織変更後に転職市場に出た際、多くの経験豊富な管理職の方々が直面する質問が、「何ができますか?」です。
ここで「企業の管理職ができます」と答えると、時として「使えないやつ」と判断されることがあります。
しかし、この見方は本当に適切なのでしょうか?
~単発スキルとの比較~
現代の職業スキルには、「英語ができます」や「エクセルでマクロが組めます」といった具体的で技術的な能力が求められがちです。
これらは確かに重要ですが、企業を動かすためにはこれだけでは不十分。
対照的に、「管理職ができる」という能力には、戦略を描く思考力や、組織内での人々を動かすリーダーシップが含まれています。
これらは、特に変化が激しいビジネス環境下での企業運営に不可欠です。
~管理職の真価~
管理職の役割は、単にチームを監督すること以上のものです。
彼らは会社の伝統や経営理念に合致した形で、戦略を具体化し、実行します。
また、理想だけで終わらせずに、現実の課題を乗り越えながらチームを前進させる能力―これは「絵に描いた餅にならない」実行力と言えます。
このような実績は、転職市場だけでなく、企業内での人材育成においても非常に有意な価値を持ちます。
~結論~
管理職の経験は、一見すると具体的なスキルが見えにくいかもしれませんが、その影響力と実効性は計り知れません。
中小企業の皆さんにおかれては、このような「見えないスキル」を正しく評価し、活用することが、会社の持続的な成長と競争力の向上につながります。
私たち社会保険労務士も、この視点を持って、皆さんのサポートをしていきたいと思います。
皆さんの企業における「管理職の真価」を、ぜひ再評価してみてください。
おおたけ